「Lower Carbon Capital」(ローワーカーボンキャピタル、以下略:LCC)とは、気候変動に取り組むために、炭素排出量の低減に注力するベンチャーキャピタルファンド。
同社は、気候変動に関連する問題に対処するために、再生可能エネルギー、エネルギー効率、低炭素交通、農業、食品など、様々な分野で活躍する革新的で持続可能なビジネスを創出するスタートアップ企業を支援しています。
LCCは、炭素排出量を削減することに加えて、社会的インパクトも追求しており、特に女性やマイノリティの創業者が率いるスタートアップ企業に焦点を当てています。
元アメリカ副大統領、Amazon、Salesforceの創業者が次々と出資
LCCへの出資者で有名な人物の一人に、アル・ゴア(Al Gore)氏が挙げられます。
アル・ゴア氏は、元アメリカ副大統領であり、環境問題に関する取り組みで知られています。
彼は、2006年に自身が製作したドキュメンタリー映画「アイン・アンコンビニエント・トゥルース」によって、気候変動問題の深刻さを訴え、世界的な注目を集めました。
その後も、環境問題に取り組むための各種団体の設立や、講演活動などを行っています。
その他にもAmazon.comの創業者であり世界的な実業家ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏をはじめ、アメリカの大富豪家族で石油業界で大きな影響力を持っていたロックフェラー家、Salesforce.comの創業者マーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏、LinkedInの共同創業者リード・ホフマン(Reid Hoffman)氏、アメリカの女優で環境問題に取り組む活動家でもあるエミリー・デシャネル(Emily Deschanel)氏など、多くの有名人が再生可能エネルギーなど環境技術分野への投資を進めることで、気候変動問題の解決に貢献することを目指しています。
エネルギー業界を引っ張る女性リーダー
Lower Carbon Capitalの代表であるメアリー・パウエル(Mary Powell)氏は、米国で活躍するエネルギー業界のリーダーの一人です。
彼女は、長年にわたりグリーンマウンテン・パワー(現:グリーン・マウンテン・エナジー)のCEOを務め、同社を再生可能エネルギーに特化したエネルギー企業へと転換させました。
また、グリーンマウンテン・パワーの環境貢献に対する取り組みが評価され、彼女自身も複数の賞を受賞しています。
Sunrun CEO @MaryGPowell featured in @Forbes 20 Customer-Centric Companies Led By Women. #WomensHistoryMonth
https://t.co/4E433e6ore— Sunrun (@Sunrun) March 10, 2023
彼女は、再生可能エネルギーの普及を進めるために、政策提言や教育普及活動にも積極的に取り組んでおり、2014年には、米国のエネルギー政策に関する有力な政策提言団体「エネルギーフューチャーコラボラティブ」の会長に就任しています。
彼女のエネルギー業界での長年にわたるリーダーシップと投資の知見を活かし、環境技術分野における投資家として注目を集めています。
いま注目すべき「Lower Carbon Capital」の支援先!あの日本企業も参戦?
LCCが支援する多くのスタートアップ企業がありますが、いくつかの注目すべき企業を紹介します。
CarbonCure Technologies
カナダのスタートアップ企業「カーボンキュア・テクノロジーズ」は、炭酸カルシウムを用いてコンクリート製品の強度を高める技術を開発しています。
この技術はコンクリート製品の製造時に二酸化炭素を取り込むため、炭素排出量を低減することができます。
Zero Mass Water
アメリカに拠点を置く「ゼロ・マス・ウォーター」は、ソーラーパネルを使用して大気中の水蒸気を収集し、飲料水を生成する技術を開発しています。
この技術により、水の生産に必要なエネルギーコストを大幅に削減し、同時に炭素排出量を低減することができます。
Goodr
アメリカのスタートアップ企業「グター」は、食品廃棄物を削減するためのソリューションを提供しています。
同社は、食品廃棄物を回収し、フードバンクや非営利団体に寄付することで、社会的インパクトを追求しています。
CarbonCroc
オーストラリア拠点を置く「カーボンクロック」は、、バイオマスを使用して炭素排出量を削減する技術を開発しています。同社は、廃棄物や剪定木などの有機質材料を使用して、高品質のバイオ石炭を生産し、炭素排出量を低減することができます。
Modern Energy Management
「モダンエナジーマネジメント」は、再生可能エネルギー発電所の開発・運営に特化したコンサルティング企業です。
アジア太平洋地域での事業展開が中心で、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などのプロジェクトを手掛けています。
これらの企業は、炭素排出量を低減するための革新的なソリューションを提供しており、LCCが支援するスタートアップ企業の一部です。
LCCが投資する環境技術分野の企業には、日本企業も含まれています。
例えば、先に挙げたカナダの「CarbonCure Technologies」には、日本の建設資材メーカー・LIXILが出資しています。
日本企業もLCCの投資先になる可能性があります。
「Lower Carbon Capital」の目指すべき未来は?
LCCは炭素排出量を低減するための環境技術企業への投資を行うことで、環境問題に取り組んでいる企業の成長を促進しています。
環境問題が世界的な課題としてますます重要視される中、同社は今後も事業拡大が期待されます。
特に、世界的な炭素排出削減目標が定められていることから、環境技術分野における需要が高まることが予想されます。
LCCは、投資先の企業によって環境問題に対する解決策を提供し、社会的に貢献することで、同時に収益を上げることができます。
また、新しい技術やサービスの開発、既存の技術の改良、市場拡大など、環境技術分野は常に進化し続ける分野です。
このため、LCCは、世界中の環境技術企業を積極的に調査し、優れた企業への投資を行うことにより、未来に向けた成長戦略を展開していくことが考えられます。
よって環境問題に対する意識の高まりや、世界的な炭素排出削減目標の設定により、LCCの未来は明るいと考えられます。
同社が投資することで、環境問題の解決策を提供する企業が成長することで、社会的な価値の向上と同時に、投資先企業とともに成長することが期待されます。
今後はLCCの出資先の企業をクローズアップして紹介していきたいと思います。
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